2024年3月21日
民族文化映像研究所作品の上映会 24回目「映画とごはんの会」を開催します。
2024年4月のプログラムは『寝屋子——海から生まれた家族』。
答志では、中学校を卒業した男子は、数人単位のグループをつくり、寝屋親を選び、自分たちの宿を引受けてくれるように頼んでもらう。そして十数年、起居をともにする共同生活をし、最初の結婚者が出るとそれを機にその寝屋子組は解散する。
1994年制作、上映時間57分の作品です。
[寝屋子と寝屋親の記念写真]
【会場】信陽堂アトリエ(文京区千駄木3-51-10-1F)
【日時】
2024年4月26日(金)
〈夜の部〉
19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
参加費 4000円(ワンドリンクと酒肴つき 税込)
定員 8名
2024年4月27日(土)
〈昼の部〉
14時上映開始(開場13時30分)16時終了
参加費 2000円(お茶とお菓子付き 税込)
定員 10名
〈夜の部〉
19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
参加費 4000円(ワンドリンクと酒肴つき 税込)
定員 8名
【申し込み】はここをクリック
「お問い合わせ内容」に「寝屋子 参加希望」
〈希望日〉と〈昼の部〉か〈夜の部〉か、当日連絡が取れる電話番号、複数でお申し込みの場合は人数もご記入ください。
*感染症対策として、手指消毒用のアルコール、ジェルをご用意します。
当日体調の優れない方の来場はご遠慮ください。
せき、くしゃみなどの症状がある方は入場をご遠慮いただきますのでご了承ください。
状況によっては、上映中はマスクを着用していただく場合がございます。
[コウナゴ漁 船を囲んで協同で捕る]
「映画とごはんの会」は
作品の上映と、そのあと1杯のお酒とおつまみをご用意した会です。
1)自己紹介は必要ありません
2)感想も求めません
とはいえ、映画を観たあとには浮かび上がるいろいろな思い、疑問があると思います。
ゲストに、民映研の創立メンバーでこの映画の撮影も担当した伊藤碩男カメラマンと、民映研の代表の箒有寛さん(ShuHALLI)をお迎えします。
湧きあがる疑問には、博覧強記の伊藤さんと箒さんが驚異の記憶力をもって答えてくださるはずです。
酒肴は「シュハリの台所」が担当します。
映画のあとは、おいしいお酒と肴とおしゃべりを楽しみましょう。
[海女の漁は夫婦で 命綱は夫がもつ]
[結婚する者が出ると寝屋子は解散する]
『寝屋子——海から生まれた家族』
1994年/57分/三重県鳥羽市答志/自主制作
【作品解説】
伊勢湾口に浮かぶ島、答志島。この記録フィルムは、この島の答志集落に伝えられている日本で唯一の伝統的若者宿の制度(ここでは「寝屋子」とよぶ)を、1980年3月から1994年秋までの14年余をかけて記録し、それをまとめたものである。
伝統的な若者宿は、かつて日本の各地でみられる制度であった。しかし第二次世界大戦後、特に1960年代に急速に消滅していった。答志の寝屋子は、その激動する時代をくぐりぬけて生き続けている唯一のものである。
答志は、海に依存し、漁業に生きる町である。
なぜこの地に、伝統的若者宿の制度が、生き続けているのであろうか。
答志では、中学校を卒業した男子は、数人単位のグループをつくり、寝屋親を選び、自分たちの宿を引受けてくれるように頼んでもらう。そして十数年、起居をともにする共同生活をし、最初の結婚者が出るとそれを機にその寝屋子組は解散する。
血気盛んな時期の共同生活である。実の兄弟以上に強い人間的結びつきが寝屋子たちに生まれ、また寝屋親とは実の親とはまた違った強い結びつきが生まれる。そしてそれは生涯変わることはない。
寝屋親には、たいてい30才代後半から40才代前半の人がなる。自分の両親や子どもがいる。子どもはまだ小さい。さらにそこに数人の他人の子どもを引き受けなければならないのである。
「ここが漁業で生き続けるかぎり寝屋子はなくならない」と、この記録で追い続けた、通称「辰吉寝屋子」の寝屋親、山下正弥さんは言った。「わしらは漁師。海の仕事には危険がつきまとう。助け合わなければならない。寝屋子はその助け合いの制度だ」、そうも言った。この記録は、辰吉寝屋子14年の記録でもある。
©民族文化映像研究所/『民映研作品総覧』(はる書房)より転載