2024年9月20日
民族文化映像研究所作品の上映会 27回目「映画とごはんの会」を開催します。
2024年10月のプログラムは『金沢の羽山ごもり』。
神の教えをノリワラとよばれる託宜者が伝えるこの神事は、北方系シャーマニズムにもつながる日本人の信仰を髣髴させる。福島市金沢の羽山ごもりは、羽山の神の声をノリワラを通じて聞くために、男たちが戒律を厳しく守って籠もる神事であり、1980年国の重要無形民俗文化財に指定された。
1983年制作、36分の作品です。一般には公開されていない貴重な祭礼を含む記録映像を一緒にみて、おいしいお酒とお料理を肴に、大いにおしゃべりしましょう。
【会場】信陽堂アトリエ(文京区千駄木3-51-10-1F)
【日時】
2024年10月25日(金)
〈夜の部〉 満席となりました
19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
参加費 4000円(ワンドリンクと酒肴つき 税込)
定員 10名
2024年10月26日(土)
〈昼の部〉
15時上映開始(開場14時30分)17時終了
参加費 2000円(お茶とお菓子付き 税込)
定員 10名
〈夜の部〉 満席となりました
19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
参加費 4000円(ワンドリンクと酒肴つき 税込)
定員 10名
【申し込み】はここをクリック
「お問い合わせ内容」に「羽山ごもり 参加希望」
〈希望日〉と〈昼の部〉か〈夜の部〉か、当日連絡が取れる電話番号、複数でお申し込みの場合は人数もご記入ください。
*感染症対策として、手指消毒用のアルコール、ジェルをご用意します。
当日体調の優れない方の来場はご遠慮ください。
せき、くしゃみなどの症状がある方は入場をご遠慮いただきますのでご了承ください。
状況によっては、上映中はマスクを着用していただく場合がございます。
『金沢の羽山ごもり』
1983年/36分/福島市教育委員会委嘱/福島県福島市松川町金沢
羽山とは各地にある端山、葉山と共通のよび名で、遠い奥山ではなく人里近い里山のことである。その羽山に神が坐すと信じ、羽山の神の教えに従って生活を律していくという羽山信仰は、古くから東北地方を中心に広く日本列島に分布していた。神の教えをノリワラとよばれる託宜者が伝えるこの神事は、北方系シャーマニズムにもつながる日本人の信仰を髣髴させる。福島市金沢の羽山ごもりは、羽山の神の声をノリワラを通じて聞くために、男たちが戒律を厳しく守って籠もる神事であり、1980年国の重要無形民俗文化財に指定された。
神事は毎年旧暦11月12日から18日まで行われる。籠もり開始の前日、神明井戸の掃除。神明井戸は期間中、朝夕の水垢離をとり、ハナ(米)をとぐ神聖な井戸である。
一日目、男たちは自分の家で水垢離をとり、籠もり屋へ入る。そして神事が終わるまで家へは帰らない。毎朝夕水垢離をとり、羽山の神へのオガミ(礼拝)をする。一日二回の食事もヤワラの儀とよばれる儀礼である。食事の世話をするカシキは、オガッカア、バッパア、ヨメなど女性の名称でよばれ、それぞれの役目がある。
二日目、注連縄、下駄などの用具作り。三日目、籠もり屋に注連縄を張って神域作り。四日目、小宮参り。村中に点在するお宮に参る。五日目、ヨイサー行事。馬によるしろかき、苗打ち、田植えが象徴的に演じられる。田植えの無事、稲の豊作を願う。六日目、神に供える大ボンデン作り。お峰餅つき。最後の食事のときにオオヨセの儀、ゴッツオの儀などの儀礼が行われる。
七日目早朝、いよいよお山がけ。羽山の大神と神明様の御神体を奉ずる行列が羽山に登る。注連縄をはって神域を作り、そこでノリワラによる託宣が始まる。村人が問い、神の言葉をノリワラが伝える。神は、作物の穫れ具合いと村人の個人的なうかがいに答える。
©民族文化映像研究所/『民映研作品総覧』(はる書房)より転載