草日誌

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2025年5月20日

第31回 映画とごはんの会
『奥茂庭——摺上川の流れとともに』

民族文化映像研究所作品の上映会 31回目「映画とごはんの会」を開催します。
6月は『奥茂庭——摺上川の流れとともに』を上映します。

茂庭の人たちは、摺上川の流れとともに年月を刻み、蚕を飼い、炭を焼き、シナダを織って、山に営々と生きてきたのである。

「奥茂庭」は福島市飯坂町にあった、のちに「茂庭っ湖(摺上川ダム)」に沈むことになる集落。民映研はその茂庭の屶振・梨平・名号各地区のいとなみを5編の記録映像として残しました。今回上映するのはその第2作で、一年を通じた四季折々の奥茂庭の人々の暮らしが描かれています。
上映時間52分の作品です。ぜひご覧下さい。

【会場】信陽堂アトリエ(文京区千駄木3-51-10-1F)

【日時】
2025年6月27日(金)
〈夜の部〉
19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
参加費 4000円(ワンドリンクと酒肴つき 税込)
定員 10名 満席となりました

2025年6月28日(土)
〈昼の部〉
15時上映開始(開場14時30分)17時終了
参加費 2000円(お茶とお菓子付き 税込)
定員 10名>

〈夜の部〉
19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
参加費 4000円(ワンドリンクと酒肴つき 税込)
定員 10名 満席となりました

【申し込み】はここをクリック
「お問い合わせ内容」に「奥茂庭 参加希望」
〈希望日〉と〈昼の部〉か〈夜の部〉か、当日連絡が取れる電話番号、複数でお申し込みの場合は人数もご記入ください。

*感染症対策として、手指消毒用のアルコール、ジェルをご用意します。
 当日体調の優れない方の来場はご遠慮ください。
 せき、くしゃみなどの症状がある方は入場をご遠慮いただきますのでご了承ください。
 状況によっては、上映中はマスクを着用していただく場合がございます。

「映画とごはんの会」は
作品の上映と、そのあと1杯のお酒とおつまみをご用意した会です。

1)自己紹介は必要ありません
2)感想も求めません
とはいえ、映画を観たあとには浮かび上がるいろいろな思い、疑問があると思います。
ゲストに、民映研の創立メンバーでこの映画の撮影も担当した伊藤碩男カメラマンと、民映研の代表の箒有寛さん(ShuHALLI)をお迎えします。
湧きあがる疑問には、博覧強記の伊藤さんと箒さんが驚異の記憶力をもって答えてくださるはずです。
お弁当は「たまや」が担当します。
おいしいお酒と肴とおしゃべりを楽しみましょう。

『奥茂庭——摺上川の流れとともに』
1989年/52分/福島市教育委員会委嘱/福島県福島市飯坂町茂庭屶振・梨平・名号

【作品解説】
山の自然を生かして暮らす山村の生活、文化は、それぞれに、その土地の自然、風土あるいは歴史のちがいをうけて、異なる様相をもつ。
福島市北部を流れる摺上川の上流域に、茂庭の集落が点在する。摺上川が形成した段丘上にそれらはある。大蛇を退治した茂庭氏がこの地を治めたという古い伝説をもつ。しかし、上流の三つの集落、名号、梨平、屶振の人たちは、福島市営ダムの建設によって移転をせまられている。この記録は、四季に対応した奥茂庭の生活をおっていった。
年の瀬、正月様をお迎えし、年が明けて十一日「ののそめ」には畑に、一四日「松おくり」にはお山(お宮)に正月様をお返しし、一五日には「団子さし」と、作物の豊饒と一年の安全を願う行事がつづく。
春、屶振では、「地蔵流し」の行事が行われる。子どもたちが小川に地蔵を流して遊ぶ。子どもたちが健やかに育つことを祈る行事でもあり、田畑の忙しくなる前のひとときの楽しみでもある。
鮮やかな新緑の頃、田植えが始まる。そしてさらに緑が色濃くなる頃には、蚕の仕事も始まる。茂庭では、蚕の仕事を手伝いに下の集落の人たちに来てもらうほど、養蚕が盛んに行われた時期もあった。
茂庭の夏は短い。お盆が過ぎれば秋風が吹く。そして忙しい収穫の時がやってくる。秋もまた足早に過ぎてゆく。
晩秋からは、シナダ(シナ布)を織る作業が、女たちの大切な仕事となる。春に採っておいたオオバボダイジュの木の皮をアク(灰汁)で煮て繊維をとり出し、糸にして布に織る仕事は、翌年の三月頃まで続く。布は、桑を摘む時につかう大きな袋、ユダンなどに利用した。山では、炭焼きが始まる。雪の降らぬうちに窯を作り、冬中たえまなく炭を焼き続けたのである。(作品69『茂庭の炭焼き』参照)
茂庭の人たちは、摺上川の流れとともに年月を刻み、蚕を飼い、炭を焼き、シナダを織って、山に営々と生きてきたのである。
©民族文化映像研究所/『民映研作品総覧』(はる書房)より転載

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