草日誌

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2025年7月21日

第32回 映画とごはんの会
『ボゼの出る盆行事』

民族文化映像研究所作品の上映会 32回目「映画とごはんの会」のプログラムが決まりました。
8月は『ボゼの出る盆行事』を上映します。

盆行事は、それぞれの家の祖霊を迎え慰めるとともに、家の繁栄を願って行われるものである。そこへ異形の神ボゼが現れる。盆になぜボゼが現れるのかはよくわかっていないが、これは、仏教的形式が整う以前の祖霊まつりのあり方をうかがわせるひとつの姿である。

〈ボゼ〉とは、鹿児島県吐噶喇トカラ列島の悪石島あくせきじまで行われる盆の行事の中で登場する〈何か〉。
祖霊を迎えるお盆の様子と、奇怪なボゼの姿。
私たちの暮らす日本に流れるさまざまな文化はどこから来たものなのか。

群発地震が続く悪石島で行われている来訪神の行事を記録した38分の映像です。お待ちしています。

【会場】信陽堂アトリエ(文京区千駄木3-51-10-1F)

【日時】
2025年8月22日(金)
〈夜の部〉
19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
参加費 4000円(ワンドリンクと酒肴つき 税込)
定員 10名

2025年8月23日(土)
〈昼の部〉
15時上映開始(開場14時30分)17時終了
参加費 2000円(お茶とお菓子付き 税込)
定員 10名

〈夜の部〉
19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
参加費 4000円(ワンドリンクと酒肴つき 税込)
定員 10名

【申し込み】
ここをクリック
「お問い合わせ内容」に「ボゼ 参加希望」
〈希望日〉と〈昼の部〉か〈夜の部〉か、当日連絡が取れる電話番号、複数でお申し込みの場合は人数もご記入ください。
また、食品アレルギーがある方は、その旨もご記入ください(お食事、お菓子の参考にいたします)。

*感染症対策として、手指消毒用のアルコール、ジェルをご用意します。
 当日体調の優れない方の来場はご遠慮ください。
 せき、くしゃみなどの症状がある方は入場をご遠慮いただきますのでご了承ください。
 状況によっては、上映中はマスクを着用していただく場合がございます。

「映画とごはんの会」は
作品の上映と、そのあと1杯のお酒とおつまみをご用意した会です。

1)自己紹介は必要ありません
2)感想も求めません
とはいえ、映画を観たあとには浮かび上がるいろいろな思い、疑問があると思います。
ゲストに、民映研の創立メンバーでこの映画の撮影も担当した伊藤碩男カメラマンと、民映研の代表の箒有寛さん(ShuHALLI)をお迎えします。
湧きあがる疑問には、博覧強記の伊藤さんと箒さんが驚異の記憶力をもって答えてくださるはずです。
お弁当は「たまや」が担当します。
おいしいお酒と肴とおしゃべりを楽しみましょう。

『ボゼの出る盆行事』
1983年/38分/鹿児島県歴史資料センター黎明館委嘱
/鹿児島県鹿児島郡十島村悪石島

【作品解説】
 九州本土と奄美諸島の間に、南北に長く列状をなして点在する吐噶喇トカラ列島。そのほぼ中央部に位置する悪石島あくせきじまでは、旧暦7月7日から17日までさまざまな盆行事が行われる。異様な姿をしたボゼが現れるのも大きな特徴である。
 旧暦7月7日の七夕の夜から13日まで、「踊り習い」と称して毎日盆踊りが踊られる。13日は祖霊を迎える準備。テラ(旧寺院)での精霊棚作り。各家では先祖の位牌を床の間におろし供え物をする。ホカショウコウ(無縁仏)にも供え物をする。イモガラ、ナス、カライモ、キュウリ、ホウセンカの花を細かく刻んでアワを混ぜた「水の子」を作る。14日は家、墓、テラの精霊棚、庚申様、地蔵様での水まつり。水の子を供え、ショウハギの葉で水をかけながら唱え言をする。夕方、盆踊り。終わると先祖の霊を家へ迎える。15日、親戚の家の祖霊を拝んでまわる。水まつり、盆踊りをする。暗くなると先祖の霊を送って墓へ参る。夜、小二才(にせ/15才から35才までの男)と大二才(36才以上の男)に分かれて家々を踊りめぐる。16日朝には、床の間の位牌が先祖棚に戻される。
 16日午後、盆踊りの最中に突然ボゼが現れる。ボゼは14日から誰にも見られないように二才だけで作られた。手に持つボゼマラとよぶ棒で人々を突いてまわる。突かれると縁起がよいという。散々暴れまわっていなくなる。
 17日、浄めの行事。潮を汲み、潮を家中にまいて浄める。ボゼの面はこわされ、テラの隅に置かれる。
 盆行事は、それぞれの家の祖霊を迎え慰めるとともに、家の繁栄を願って行われるものである。そこへ異形の神ボゼが現れる。盆になぜボゼが現れるのかはよくわかっていないが、これは、仏教的形式が整う以前の祖霊まつりのあり方をうかがわせるひとつの姿である。
©民族文化映像研究所/『民映研作品総覧』(はる書房)より転載

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