草日誌

草日誌

2019年6月24日

第6回 映画とごはんの会
『奄美の泥染』

信陽堂「映画とごはんの会」7月のプログラムが決まりました。
第6回の上映作品は『奄美の泥染』です。

日時 7月27日(土) 19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
会場 信陽堂アトリエ(文京区千駄木3-51-10-1F)
参加費 3000円(税込み、ワンドリンクと軽食付き)
定員 10名

この作品の舞台は鹿児島県の奄美大島。
「泥染」とは有名な「大島紬」のもう一つの呼び方。
紬は織物なので通常は当然「織り」の工程に興味が集まるけれど、
この映画では「糸作り」と「染め」の工程にこだわります。
素朴な手織りではあるけれど、
そこには仕上がりの模様から逆算して解析される幾何学的な糸の構造があり、
化学反応を利用した染めがある。
そして、分業で進められる気が遠くなるように複雑な工程の最後に、
細密な柄が織り上げられます。
一度見ただけでは到底理解できない作品ですが、
今回は上映前に、この映画のポイントを民映研の箒有寛さんにミニレクチャーをしていただきます。
31分の映像をいっしょに観て、大きな「?」を抱え、おいしいお酒とお料理を肴に、大いにおしゃべりしましょう。

おつまみとごはんは「たまや」が担当します。
www.instagram.com/tamahauoli

「映画とごはんの会」は……
作品の上映と、そのあと1杯のお酒とおつまみをご用意した会です。

1)自己紹介は必要ありません
2)感想も求めません
とはいえ、映画を観たあとには浮かび上がるいろいろな思い、疑問があると思います。
ゲストに、民映研の創立メンバーでこの映画の撮影も担当した伊藤碩男カメラマンと箒有寛さんをお迎えします。
湧きあがる疑問には、博覧強記の伊藤さんが驚異の記憶力をもって答えてくださるはずです。

『奄美の泥染め』
1989年/31分/鹿児島県教育委員会/鹿児島県大島郡竜郷町・笠利町、名瀬市

【作品解説】
伝統的な衣食住には、それぞれの地域の風土や歴史が色濃く反映し、さらには地域性を超えた人間の資質の奥深さがにじみ出ている。この映画は奄美の泥染(大島紬の別称)の製作行程を記録するとともに、その奥深いものを少しでも明らかにしようとしたものである。
大島紬は、基本的には絹の平織りの織物だが、それが泥染とよばれる技法で染められ、緻密なカスリ模様に仕上げられるところに特色がある。テーチギ(シャリンバイ)の煮汁と鉄分を含んだ田の泥による染めの技法。奄美の泥染の名が 大島紬の別称であるゆえんである。
奄美の泥染は、材料の絹糸をいきなり染めるのではなく、染めに先立って、きわめてデリケートな、また重要な作業工程がある。はじめに描かれたカスリ模様の図案に基づいて、緯糸(よこいと)、経糸(たていと)の染め準備をする。この段階で手違いがあると大島紬独特の緻密なカスリ模様にくるいが生じる。織物は六丈九尺の長さに織られるが、その先端で2mmの誤差も許されない。そのためにまず、緯糸、経糸の長さや並び順序を決定づけるハエカタ作業をする。次いでノリづけ作業。そして大島紬独特の発明とされるシメバタ作業がある。シメバタは染めのかからない部分を作るために考案されたもので、昔は手縛り(手締め)でやっていたことを、ガス糸(木綿糸)を張った機でやるようにしたものである。ガス糸の部分が染まらずに残る。緻密な染め模様を決定づける大事な作業であり、力がいるので主に男の仕事である。
続いて染めにはいる。テーチギのふくむタンニン質と田泥の鉄分の化合によって生みだされる深々とした色合いの黒色。泥染の名からは想像しがたいほどの洗練度を持つ見事な色合い、風合いである。
糸染めの工程は、最も熟練した人たちでも、最低6カ月かかる。そしてさらに、織り上がるには、1〜2年の歳月を要するのである。(民映研作品総覧冊子より)
©民族文化映像研究所

Facebook Twitter google+ はてなブックマーク LINE
← 前の記事今日の草庭
ユキノシタと庭石菖
次の記事 →川内倫子写真展
〈いのちといのち
やまなみ工房のいとなみ〉

関連記事