2019年12月11日
信陽堂「映画とごはんの会」2020年1月のプログラムが決まりました。
第9回は再上映のリクエストが多かった『イヨマンテ 熊おくり』、
2018年5月に続いての上映です。
日時 2020年1月18日(土)
会場 信陽堂アトリエ(文京区千駄木3-51-10-1F)
【昼の部】
14時上映開始(開場13時30分)17時00分終了
参加費 1500円(税別、お茶とお菓子付き)
定員 10名 →〈満席〉となりました(12月13日)以降、キャンセル待ちとさせていただきます
(昼の部もゲストスピーカーをお招きする予定。上映のあとはお茶とお菓子でおしゃべりしましょう)
【夜の部】
19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
参加費 3000円(税別、ワンドリンクと軽食付き)
定員 8名 →〈満席〉となりました(12月12日)以降、キャンセル待ちとさせていただきます
【受付】← こちらから。
「お問い合わせ内容」に「上映会参加希望」「昼の部」または「夜の部」、当日連絡が取れる電話番号、複数でお申し込みの場合は人数もご記入ください。
イヨマンテ……「熊おくり」として知られるお祭りの貴重な記録。3日かけて行われるさまざまな儀式を丁寧に追うことで「熊の魂を神の国に送り返す」という行為の底に流れるアイヌの人々の世界観/自然観に迫ります。
上映時間103分の長編です。
こちらから予告編もご覧いただけます。→ クリック
いっしょに観て、おしゃべりしましょう。
「映画とごはんの会」は
作品の上映と、そのあと1杯のお酒とおつまみをご用意した会です。
1)自己紹介は必要ありません
2)感想も求めません
とはいえ、映画を観たあとには浮かび上がるいろいろな思い、疑問があると思います。
ゲストに、民映研の創立メンバーでこの映画の撮影も担当した伊藤碩男カメラマンと、南青山で民映研の映像を連続上映している「シュハリ」( @ShuHALLI )から箒有寛さんをお迎えします。
湧きあがる疑問には、博覧強記の伊藤さんが驚異の記憶力をもって答えてくださるはずです。
おいしいお酒と肴とおしゃべりをに楽しみましょう。
おつまみとごはんは「たまや」が担当します。
『イヨマンテ ~熊送り』(民映研FBより転載)
1977年/103分/自主制作
北海道沙流郡平取町二風谷
日本映画ペンクラブ推薦/1989年第3回イタリア・フェルモ国際北極圏映画祭「人類の遺産」賞/1991年第5回エストニア・ペルノ―国際映像人類学祭最高科学ドキュメンタリー賞
【作品解説】
イヨマンテとはイ(それを)・オマンテ(返す)という意味で、熊の魂を神の国へ送り返すまつりをいう。アイヌ民族にとって、熊は重要な狩猟対象であるとともに神であり、親しみと畏敬の対象であった。熊は神の国から、毛皮の着物を着、肉の食べ物を背負い、胆(い)という万病の薬を持って、アイヌつまり人間の世界へ来てくれる。そのお礼に人間界のお土産を持たせ、また来てくださいと送り返すのだとアイヌは言う。
1977年3月上旬、このイヨマンテは行われた。指導にあたったのは二風谷アイヌ民族資料館の萱野茂さん。
「本物のイヨマンテを覚えておきたい」というアイヌの青年たちの熱意に支えられて、まつりは実現した。
準備。山から材料の木や草を集めて、祭祀道具を作る。酒やまつりの食べ物を作る。
イヨマンテが始まる。熊は檻から出され、ヌササン(祭壇)の前に連れていかれる。花矢が次々に射られ、最後に矢が射られる。その前でニヌムッチャリ(クルミと干魚を撒く)をする。アイヌの村は豊かで楽しい所だと神の国に言づけてもらいたいという願いが込められている。またアイヌペウレプ(人が熊の役をして遊ぶ)や網引きをして、豊猟を祈る。
ヌササンの前で熊の解体。肉は作法に従いカムシケニ(肉を背負う木)にかけられる。次いで、魂が宿っている
とされるオルシクルマラプト(毛皮をつけた頭)をチセ(家)に招じ入れ、火の神との対面をする。そして夜を徹しての宴。
2日目深夜、ウンメンケ(頭の化粧)。鼻先と耳の毛だけを残して熊の頭から毛皮が取られ、目、下、脳も取り除かれる。そしてイナウキケ(木の削りかけを使った祭具)や麹、笹で美しく飾る。その頭骨をユクサパウンニ(熊の頭をのせる木)にのせ、カムイシンタ(神の乗り物)をつけ、性器をつるし、祭主のしるしをつけたパスィ(へら)をつるし、着物を着せ、土産を持たせる。そして3日目早朝、ケオマンテ(なきがら送り)の儀式が行われる。
イヨマンテは、アイヌの自然観、生命観が凝縮したまつりである。生命体である人間と他の生命体である動物との対峙。そこには人間の信仰、文化の原初への啓示がある。
©民族文化映像研究所