草日誌

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2021年3月27日

『三春タイムズ』と
長谷川ちえさんのこと

梅、桃、桜、
三つの春が一度に訪れる
小さな町の四季と暮らし

新しい本ができました。
長谷川ちえさんの文章、素描家shunshunさんの絵による『三春タイムズ』です。

東京・蔵前から
福島・三春へ引っ越して五年。

器と雑貨の店 in-kyo を営む長谷川ちえさんが
初めての土地で見つけた、いとなみの豊かさ。
東北の小さな町の季節をめぐる待望のエッセイ集。

著者の長谷川ちえさんはエッセイストであり、
2007年から2016年春まで東京・蔵前で〈in-kyo〉という器と雑貨のお店を営んでいた方です。福島県に三春町に移住し、その町でふたたび〈in-kyo〉をはじめ6年目になりました。

『三春タイムズ』は2020年の立春から大寒までの二十四節気に導かれ書き継がれた24のエッセイで構成され、それぞれ一葉ずつ、繊細で柔らかなペン画で多くのファンを持つ素描家 shunshun さんが描き下ろした絵が添えられています。
24の言葉と絵とが響き合う、福島・三春の情景です。

造本装幀は、皆川明さん、ミナペルフォネンの本など数々の美しい本のデザインで知られるサイトヲヒデユキさんに担当いただきました。
力強い活版の文字と繊細な箔押しの表紙をぜひご覧下さい。

ご存知の方も多いと思いますが、
〈in-kyo〉は開店当初はアノニマ・スタジオの一郭に店舗を構えていました。
2007年、アノニマ・スタジオが南青山から蔵前に移転するにあたり、
『器と暮らす』『ものづきあい』などの本を書いていただいていたちえさんに
「ここで一緒に店をやってみませんか?」と声をかけたことがはじまりでした。
ほどなくして〈in-kyo〉は、ちえさんの審美眼と人柄にひかれたお客さまや作り手があつまる唯一無二の場所になりました。
その後お店は、同じ蔵前のすぐ近くの場所に移り、さらに2016年春、三春に移転しました。
最近どうしていらっしゃるかな、と思っていた矢先の2020年早春のこと、
ちえさんがWEBサイトnoteで記事を配信しはじめました。
二十四節気ごとにそっと掲載される文章は、ちえさんが三春転居以来その土地と土地に暮らす人たちとの交流を描いて、とても魅力的でした。
「いつか本にすることがあったら、ぜひお手伝いさせてください」
初めて読んだその晩、思わずメッセージを送りました。
そのときはまだ、信陽堂としての出版をはじめる予定はたっておらず、ただ気持ちが先走って。
それから一年、こうして本の形になりました。
なんとも不思議な気持ちです。

ちえさんと作る本は4冊目です。

『おいしいコーヒーをいれるために』2002年 メディアファクトリー
『器と暮らす』2005年 アノニマ・スタジオ
『ものづきあい』2007年 アノニマ・スタジオ
『三春タイムズ』2021年 信陽堂

はじめて出会ってからそろそろ20年が経ちます。
ちえさんとの出会いも、永井宏さんからのご縁でした。
その頃のことは、またいずれ。

『三春タイムズ』
長谷川ちえ/文
shunshun/絵
四六変形判上製(192ミリ×124ミリ)216ページ

造本装幀 サイトヲヒデユキ(書肆サイコロ)
印刷進行 藤原章次(藤原印刷)
校正 猪熊良子
編集 信陽堂編集室
印刷 藤原印刷
表紙 日光堂(活版印刷)
   コスモテック(箔押し)
製本 松岳社
ISBN978-4-910387-01-7 C0095

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