2025年8月26日
| 夏の縁側 |
『なつのやさい』
ラジオたいそうから かえってきたら
えんがわに やさいが おいてあった
となりの おばさんが
はたけのを とってきて くれたって
なつのやさいは とげとげしている
えんがわで わたしは
まがったきゅうりを かじる おみそをつけて
トマトに かぶりつく
きいろいたね しるがしたたる
おひるは えんがわに おぜんをだして
おそうめんと
きゅうりの ぬかづけと
すいかの しろいところの ぬかづけ
たべたら おひるね
ゆうがた うちみず うちみず
かきねの かげで うちのねこが おしっこしてる
わたしは あわてて ねこをつかんで もちあげた
しゃー
ねこは おしっこを とめられない
なんでかな
そうしてまた うちみず うちみず
とうさんが かえってきて
あたまを なでてくれた
なーみちゃん ありがとう
うえきにも みずを あげてくれるかね
おゆはんの まえに
かあさんが とうもろこしを ゆでてくれた
わたしの だいだい だいこうぶつ
あっちっち!
ハンカチで くるんで
えんがわで ハモニカとうもろこし
あしを ぶらぶら かぶりつく
はに はさまっても
かおに しるがついて
べたべた かゆくなっても いいの
わたし とうもろこしに なっちゃう
くもが
あかくなってく
おゆはん たべて
とうさんと おふろに はいって
かとりせんこうの えんがわ
とうさんは すいかに おしおをつける
わたしは せみの おはかに
すいかの たねを とばした
六甲では、夏の終わりを知らせるツクツクボウシが鳴きはじめました。
今日も汗をいっぱいかいたから、早めにシャワーを浴びて、氷入りのビールでゆく夏に乾杯。夏の夕方は窓辺に椅子を持ってきて、窓枠に足をのっけ、ゴッドファーザーみたいにふんぞり返って空を眺めるのです。
さっきから、トンビもカラスも雀も蜂も、西の空に向かって飛んでいきます。
どうしてなんだろう。今日も一日、私たちを照らしてくれた太陽に、挨拶にいくんだろうか。
『なつのやさい』は、毎年夏がやってくるたびに書いては直し、書いては直してきた絵のない絵本。縁側がよく出てくるけれど、そういえば窓辺と縁側はよく似ています。どちらとも、外の世界に向かって開かれた窓なのだなあと、ずいぶん大きくなったなーみちゃんは思う。
〈 了 〉
文・写真 高山なおみ