
2026年10月11日

おばけの せかいへ とんでいけ
おばけに なって とんでいけ
愛らしいおばけの造形と、シュールな結末。大人もこどもも夢中にさせる、せなけいこ(1931-2024)の『ねないこ だれだ』は1969年の刊行以来、3世代にわたり読み継がれる日本を代表する絵本です。
大胆でスタイリッシュな造形と色彩、神話、伝説、昔話、怪談、奇談、そして落語など古今東西のさまざまな物語に親しむ中から着想、読者の想像力を信頼することで生まれた破天荒なストーリーは子どもたちに熱烈に愛されてきました。本書は55年に渡る創作活動の全貌はもちろん、絵本作家デビュー前に制作されたイラストレーション、紙芝居、幻燈などを網羅して紹介した展覧会「せなけいこ展 その全仕事」の公式図録です。
『いやだいやだ』『ねないこ だれだ』『めがねうさぎ』などの人気作品、ひとつのジャンルを生み出した「おばけ絵本」の数々、ねこやうさぎを主人公にしたシリーズなどの原画や資料約500点を全10章540ページの大ボリュームにまとめました。パワフルな構図が魅力の〈せな絵本〉ですが、「はり絵」という独自の技法で描かれた原画は、紙の繊維一本一本まで計算して作られた繊細な世界です。本図録では、絵本の印刷では失われてしまったそれらの微細な表現を、全点新たに撮影し高精細な印刷で再現。作家の息づかい、指先の軌跡をじっくりお楽しみいただけます。また、絵本には収録されなかった「もう一枚の原画」や作品の誕生までを想像させる「手づくりダミー絵本」やクロッキー帖に描かれた「絵コンテ」などの豊富な資料も見逃せません。各章の詳細な解説、母として手づくり絵本を作っていたせなけいこを見出した編集者はじめ、作品作りに伴走してきた3名の編集者のインタビュー、本展監修者黒田かおる氏の書き下ろしエッセイも収録。絵本作家せなけいこファン必携、まさに「全仕事」と呼ぶにふさわしい展覧会の図録です。
余談になりますが、この本はデザイナー・祖父江慎さんとの最後の仕事になりました。
展覧会の企画のご相談にうかがったのは2026年2月初旬のこと。図録の判型やせなけいこさんの原画のどの部分にフォーカスをあてるか、など基本的な考え方を共有しました。しかしそのひと月後に祖父江さんが逝去。実際の制作作業は監修者・黒田かおるさんの思いと、刈谷市美術館の松本育子さんの企画意図とをコズフィッシュの小野朋香さん、志間かれんさんとで形にしてゆくことになりました。祖父江さん不在のショックはありましたが、祖父江さんの考え方をしっかり引きついだおふたりとの作業はまったく不安はなく、とてもスムーズでした。祖父江さんには編集者として仕事をはじめた初期からお世話になっており、数えてみるとはじめてお目にかかってから35年も経っていました。私自身はデザイナーではありませんが、デザインの考え方をふくめ「本の作り方」「本づくりの楽しみ方」を祖父江さんとの仕事から学んだという思いがあります。その意味で、この図録は同じ教室で学んだメンバーで作った思い出深い一冊になりました。







『せなけいこ展 その全仕事 展覧会図録』
B5変形(167ミリ×167ミリ)上製 540ページ
監修 黒田かおる
展覧会企画構成 松本育子(刈谷市美術館)
アートディレクション 祖父江慎
デザイン コズフィッシュ(小野朋香、志間かれん)
撮影 吉次史成、長田朋子
図録構成・発行 信陽堂
校正 イルゴッタ
印刷 アイワード
製本 大村製本
価格=4,200円(税込)
送料=700円(北海道、沖縄は800円)
展覧会場、信陽堂の通販、出店するブックイベントのみにて販売しています。
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