2023年11月12日
民族文化映像研究所作品の上映会 22回目「映画とごはんの会」を開催します。
2023年12月のプログラムは『コガヤとともに——世界遺産登録記念』。
この作品は、合掌造り民家の屋根を葺くのに使われる大量のカヤがどのようにして生み出され、処理され、屋根の守り手となっていくかというカヤの足取りを軸とし、それを実現していくための、荻町の人々の工夫や努力を記録したものである。
1996年制作、上映時間54分の作品です。
【会場】信陽堂アトリエ(文京区千駄木3-51-10-1F)
【日時】
2023年12月15日(金)
〈夜の部〉
19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
参加費 4000円(ワンドリンクとお弁当付き 税込)
定員 8名
2023年12月16日(土)
〈昼の部〉
15時上映開始(開場14時30分)17時終了
参加費 2000円(お茶とお菓子付き 税込)
定員 10名
〈夜の部〉
19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
参加費 4000円(ワンドリンクとお弁当付き 税込)
定員 満席となりました
【申し込み】はここをクリック
「お問い合わせ内容」に「コガヤ 参加希望」
〈希望日〉と〈昼の部〉か〈夜の部〉か、当日連絡が取れる電話番号、複数でお申し込みの場合は人数もご記入ください。
*感染症対策として、手指消毒用のアルコール、ジェルをご用意します。
当日体調の優れない方の来場はご遠慮ください。
せき、くしゃみなどの症状がある方は入場をご遠慮いただきますのでご了承ください。
状況によっては、上映中はマスクを着用していただく場合がございます。
「映画とごはんの会」は
作品の上映と、そのあと1杯のお酒とおつまみをご用意した会です。
1)自己紹介は必要ありません
2)感想も求めません
とはいえ、映画を観たあとには浮かび上がるいろいろな思い、疑問があると思います。
ゲストに、民映研の創立メンバーでこの映画の撮影も担当した伊藤碩男カメラマンと、民映研の代表の箒有寛さん(ShuHALLI)をお迎えします。
湧きあがる疑問には、博覧強記の伊藤さんと箒さんが驚異の記憶力をもって答えてくださるはずです。
お弁当は「たまや」が担当します。
映画のあとは、おいしいお酒と肴とおしゃべりを楽しみましょう。
『コガヤとともに——世界遺産登録記念世界遺産登録記念』
1996年/54分/岐阜県大野郡白川村荻町/岐阜県白川村教育委員会委嘱/芸術文化振興基金(助成)/1998年キネマ旬報文化映画ベストテン第5位
【作品解説】
岐阜県白川村荻町は、深い渓谷の発達した飛騨山地の中を流れる庄川の河岸段丘にひらける集落である。
この集落には約180棟の合掌造り建築がここに住む人々の手によって維持され、1995年12月、富山県平村相倉・上平村菅沼とともに、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界遺産リストに登録された。
この作品は、その合掌造り民家の屋根を葺くのに使われる大量のカヤがどのようにして生み出され、処理され、屋根の守り手となっていくかというカヤの足取りを軸とし、それを実現していくための、荻町の人々の工夫や努力を記録したものである。
合掌造り民家の屋根を翡くには、コガヤ(カリヤス)が良いとされる。コガヤはオオガヤ(ススキ)と比べると細身だが、茎がストロー状という特徴をもち、湿気を蒸発させやすいので、オオガヤで葺くよりも屋根が長もちする。
白川村の人たちはこのコガヤを得るために、標高700〜1000メートルゾーンの焼畑の作物づくりとコガヤの栽培を組み合わせる方法を伝えてきた。作物を収穫した後の焼畑地にコガヤを植え、育てたのである。
山のカヤ場から村へ大量のカヤを下ろす方法は大別して二つある。秋と春に、急斜面を利用してカヤ束をおろすムカデとよぶ方法と、冬に、雪の斜面を利用してヤ束をおろすヒキギリとよぶ方法である。焼畑地のコガヤの栽培といい、ムカデ・ヒキギリによるカヤの運搬方法といい、昭和30年代以降、日本の大きな変化のなかで急速に消えていく傾向にあった(この記録作業では、それらカヤに関わる伝統的な生活文化の体験者たちを中心とした復元・復活作業とともに、新しい方法によるコガヤ栽培地実験や、カヤ穂の保存・発芽実験など新しい試みも行われた。
©民族文化映像研究所/『民映研作品総覧』(はる書房)より転載