草日誌

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2012年10月20日

ピリカタント書店

下北沢の「ピリカタント書店」に遊びに行ってきました。
店主の西野優さんはアノニマ・スタジオで一緒に本を作っていたかつての仲間です。
アノニマを離れたあとは「月に一回旅に出る」を自分に課して(!)、たくさんのアルバイトを掛け持ちしながら各地への貧乏旅行を繰り返していた(最後の所持金が100円ほどになり、空港に行けなくなったり……どうしてそうなるのかは、怖くて聞けませんでした)。
その旅の日々の中で「素敵なことを伝える方法は、本だけではないんだ」を感じていたそうです。そんな西野さんが開いたお店です。
「ピリカタント書店」の第一印象は「広々した場所だなあ」というものでした。それは面積のことではなく、表に向かって開かれている、という印象のことです。
西野さんらしい、と思いました。まだまだはじまったばかりですが(実はまだ「プレオープン」中で、正式オープンは11月半ばだそうです。こういうところも西野さんらしい)、これからたくさんの人が集まり、いろいろな思いや美しい風景やおいしいものを持ち寄って場所が育っていくのでしょう。その様子が目に浮かぶようでした。

それは旅で得た柔らかな感覚、ものごとの受け止め方、それをおしみなく次に手渡していく西野さんのこころの豊かさからくるものだと思います。
そうでした。西野さんの素敵なところは、こういう「開いていく感覚」でした。自分が好きと思ったことやものを、素直に人に伝えていくところでした。
「すてきな場所」と思った通りを口にすると「いえいえ、たまたまなんです。自分でもお店をすることになるなんてぜんぜん思ってなかったんです」といいます。「偶然と、人との出会いとかつながりが重なって、いつの間にかこうなっていたんです。まわりの人たちがすごいんです」と謙遜します。
でもね、その偶然も人との出会いも、ぼくは実力だと思います。必要な時に必要な人に出会えること。それは神さまが「それでよし! GO!」といってくれている証拠ですよね。そのタイミングや出会いを逃さずに形にしていくことを実力といわずして何と言う!
「ピリカタント書店」は
「本とごはんと日用品」の店。
かつて一緒に本を作っていた仲間としては、西野さんが旅先で見つけ、人に伝えたいと思ったものの中に「本」が入っていることが、素直にうれしくおもはゆい思いです。
下北沢に行く楽しみがひとつふえました。

(追記 現在リアル店舗は閉店、西野さんはイベントなどへの出店という形で活動しています)
http://www.facebook.com/pirkatanto

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