2018年6月15日
信陽堂では、
民族文化映像研究所の映像アーカイブを中心に映像作品を上映する会を開催しています。
第3回の上映作品は『ボゼの出る盆行事』です。
日時 7月7日(土) 19時上映開始(開場は18時30分)
会場 信陽堂アトリエ(文京区千駄木3-51-10-1F)
参加費 3000円(税込み、ワンドリンクと軽食付き)
定員 10名
ご希望の方は shinyodo@me.com まで、件名を「上映会 参加希望」として、氏名、連絡先をお送り下さい。
のちほどこちらからご返信さし上げます。
ボゼとは、鹿児島県吐噶喇(トカラ)列島の悪石島で行われる盆の行事の中で登場する「何か」。
祖霊を迎えるお盆の様子と、奇怪なボゼの姿。
私たちの暮らす日本に流れるさまざまな文化はどこから来たものなのか。
七夕の夜、38分の映像をいっしょに観て、大いにおしゃべりしましょう。
「映画とごはんの会」は
作品の上映と、そのあと1杯のお酒とおつまみをご用意した会です。
1)自己紹介は必要ありません
2)感想も求めません
とはいえ、映画を観たあとには浮かび上がるいろいろな思い、疑問があると思います。
ゲストに、民映研の創立メンバーでこの映画の撮影も担当した伊藤碩男カメラマンと、毎月南青山で民映研の映像を連続上映している「シュハリ」( @ShuHALLI )から箒有寛さんをお迎えします。
湧きあがる疑問には、博覧強記の伊藤さんが驚異の記憶力をもって答えてくださるはずです。
おいしいお酒と肴とおしゃべりをに楽しみましょう。
おつまみとごはんは「たまや」が担当します。
『ボゼの出る盆行事』(民映研作品総覧より転載)
1983年/38分/鹿児島県歴史資料センター黎明館委嘱
鹿児島県鹿児島郡十島村悪石島
九州本土と奄美諸島の間に、南北に長く列状をなして点在する吐噶喇(トカラ)列島。そのほぼ中央部に位置する悪石(あくせき)島では、旧暦7月7日から17日までさまざまな盆行事が行われる。異様な姿をしたボゼが現れるのも大きな特徴である。
旧暦7月7日の七夕の夜から13日まで、「踊り習い」と称して毎日盆踊りが踊られる。13日は祖霊を迎える準備。テラ(旧寺院)での精霊棚作り。各家では先祖の位牌を床の間におろし供え物をする。ホカショウコウ(無縁仏)にも供え物をする。イモガラ、ナス、カライモ、キュウリ、ホウセンカの花を細かく刻んでアワを混ぜた「水の子」を作る。14日は家、墓、テラの精霊棚、庚申様、地蔵様での水まつり。水の子を供え、ショウハギの葉で水をかけながら唱え言をする。夕方、盆踊り。終わると先祖の霊を家へ迎える。15日、親戚の家の祖霊を拝んでまわる。水まつり、盆踊りをする。暗くなると先祖の霊を送って墓へ参る。夜、小二才(にせ/15才から35才までの男)と大二才(36才以上の男)に分かれて家々を踊りめぐる。16日朝には、床の間の位牌が先祖棚に戻される。
16日午後、盆踊りの最中に突然ボゼが現れる。ボゼは14日から誰にも見られないように二才だけで作られた。手に持つボゼマラとよぶ棒で人々を突いてまわる。突かれると縁起がよいという。散々暴れまわっていなくなる。
17日、浄めの行事。潮を汲み、潮を家中にまいて浄める。ボゼの面はこわされ、テラの隅に置かれる。
盆行時は、それぞれの家の祖霊を迎え慰めるとともに、家の繁栄を願って行われるものである。そこへ異形の神ボゼが現れる。盆になぜボゼが現れるのかはよくわかっていないが、これは、仏教的形式が整う以前の祖霊まつりのあり方をうかがわせるひとつの姿である。
©民族文化映像研究所