草日誌

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2012年3月6日

光を追いかけて

撮影は、光との勝負です。
今回の前川秀樹さんの新作写真は【Carte Collier】も、窓からの光をどう捕まえるか、がポイントになりました。
朝、まだ昇りはじめたばかりの、低いけれど力強い光。
昼、少し遠くから何かに反射しながら届く、安定した光。
夕、稜線に隠れそうな、どんどん沈んでいく光。
前川さんは、モノと光の関係をシミュレーションしながら、なかば即興演奏のような身軽さで、軽業師のようなステップで作品の世界を作っていきます。
カメラ担当の首藤さんはその見えないステップを引き取るように、それらの光をまるで自分のアシスタントのように扱って、4×5の大きなフィルムで克明な写真を撮っていきます。

一瞬も時間を無駄にできない真剣勝負の数時間ではあるのですが、その場所に満たされているのはいつも、なんとものんびりした空気でした。
その空気を作ってくれていたのは、きっとこのチャイさんでしょう。
かなりご高齢のご婦人犬です。
さすがに吠えたり飛び跳ねたりはしませんが、撮影には人一倍興味があって、作品を広げているスペースを定期的にパトロールをしにきます。
作品作りにも撮影にも直接参加出来ないぼくたちのその場での仕事は、チャイさんキャッチャーです。
のんびりまどろんでいるチャイさんがひょいと顔を上げて動き出したら、仕事です。彼女の動きを予想して、カメラの方に行かないようにキャッチする。
それでも横をすい~っとすり抜けていくチャイさん。
「チャイさん、行きました~」
と声をかけると、キャッチャー第二陣のデザイナー関さんが
「はいはい、チャイさん、こっちきちゃだめですよ~」
と上手に戻してくれます。

前川さん、首藤さん、関さん(そしてチャイさん)のこのチームは、初顔合わせからすでに4年目ですから、そのへんの呼吸もぴったり合っています。
そんなことをしているうちに撮影は進み、台所からはいい匂いがしてきます。
撮影のお楽しみ、千恵さんのまかないの時間です。
その話は、また今度。

よろしければこちらもご覧下さい。→ どうぞ
(今回の写真は、ミスター・ユニバース関さんの撮影です)

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