草日誌

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2019年3月31日

第5回 映画とごはんの会
『からむしと麻』

信陽堂では、
民族文化映像研究所の映像アーカイブを中心に映像作品を上映する会を開催しています。

第5回の上映作品は『からむしと麻』です。

日時 4月20日(土) 19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
会場 信陽堂アトリエ(文京区千駄木3-51-10-1F)
参加費 3000円(税込み、ワンドリンクと軽食付き)
定員 【満席となりました】

(4月3日追記)おかげさまで満席となりました。キャンセル待ちご希望の方は shinyodo@me.com まで、件名を「上映会 キャンセル待ち希望」として、氏名、連絡先をお送り下さい。
のちほどこちらからご返信さし上げます。

この作品の舞台は奥会津の昭和村(名作『奥会津の木地師』の舞台、針生地区とは山ひとつ隔てた北側)。
「からむし」は苧麻(ちょま)とも呼ばれ、麻と並んで木綿や絹が普及する以前は重要な布でした。

冬は雪に閉ざされる山間の村でからむしと麻を育て、繊維をとりだし糸を績み反物に織り上げるまでの工程を丁寧にたどる、約30年前の作品です。
信陽堂もご縁があって昨年秋から昭和村に通いはじめました。
今回は昭和村でからむし布の制作と普及の活動をしている〈渡し舟〉さんから布のサンプルもお借りしました。実際に手に取って「からむし」を感じていただけます。
55分の映像をいっしょに観て、大いにおしゃべりしましょう。

「映画とごはんの会」は
作品の上映と、そのあと1杯のお酒とおつまみをご用意した会です。

1)自己紹介は必要ありません
2)感想も求めません
とはいえ、映画を観たあとには浮かび上がるいろいろな思い、疑問があると思います。
ゲストに、民映研の創立メンバーでこの映画の撮影も担当した伊藤碩男カメラマンと、毎月南青山で民映研の映像を連続上映している「シュハリ」( @ShuHALLI )から箒有寛さんをお迎えします。
湧きあがる疑問には、博覧強記の伊藤さんが驚異の記憶力をもって答えてくださるはずです。
おいしいお酒と肴とおしゃべりをに楽しみましょう。

おつまみとごはんは「たまや」が担当します。

『 からむしと麻』
1988年/55分/自主制作/福島県大沼郡昭和村大芦・大岐地区

【作品解説】
『魏志倭人伝』に苧麻(ちょま)の名で記されている、衣料材料のカラムシ。
同じように古くから利用されてきた麻。第二次大戦後、それらは急速に日本中から消えていった。福島県西部の山間地に位置する昭和村は、沖縄県宮古島と ともにただ2カ所のカラムシの生産地である。そして数少ない麻の生産地のひとつでもある。カラムシは、イラクサ科の多年草であり、根の植え替えを5〜6年に1度する。
5月、太い直根から出る側根を切り、 移し植える。2年目以降の畑では、小満(立夏の半月後・5月20日頃)にカノ(焼畑)をする。芽の成育をそろえ、 害虫の卵を焼くためである。
次に、畑の周りを茅の垣根で囲い、風で茎がふれあって、傷がつくのを防ぐ。
7月下旬、 2メートルほどに成長したカラムシを刈り取る。その日に苧(お)引きできる量だけを刈る。苧引きとは、剝いだ表皮を苧引板 にのせてヒキゴとよぶ刃物で肉質部をそぎ、繊維をとることをいう。とれた繊維は家の中で干される。
麻は、クワ科の一年草。5月に種を播いて、8月下旬に刈り取る。刈り取り後、天日で乾燥する。
彼岸頃にオツケ場で4日間水に漬けて柔らかくし 、表皮を剝ぎ、さらに水に漬けてから苧引きをし干される。この後、米糠の汁で煮て手でもみ、床に叩きつけていく。ここまでの作業が、カラムシと麻では異なる。
冬、糸を作り、布を織る 。 まず苧うみ。 繊維を爪で細くさき、唾でしめらせながら長くつないでいく。これに糸車で縒りをかけ、糸にする。次に糸ノベ。1反分の長さの経糸を必要な本数だけ数えとる。経糸をオサに通し、機にかけて織る。 機は地機である。昭和村の人は、カラムシには「キラがある」と言う。 きらめきの意味で、光沢のことをいう。
透けるほど繊細に織られる新潟県の越後上布の材料はこのカラムシで、昭和村はその供給地であった。
©民族文化映像研究所

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