草日誌

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2011年10月1日

柏木江里子さんの
『いちにち いちにち』

柏木江里子さんは、昨年2010年8月30日、肺がんのため逝去されました。
生前はグラフィックデザイナーとして、またご自身のブランド「柏」のデザイナーとして手ぬぐいや帯留めなどの和小物、ポストカードなどを手掛けていらっしゃった方です。

信陽堂はアノニマ・スタジオ時代に、京都の井上由季子さんの本『文房具で包む』を作った際にデザイナーとしてお世話になり、それ以来のおつきあいでした。

柏木さんが南青山から清澄白河にお住まいと事務所を移されて、アノニマ・スタジオも蔵前に引っ越して、
「これからは大江戸線で一本で行き来できますね」
「蔵前なら自転車でも行けるわよ」
なんて立ち話をしたのを覚えています。
その後丹治は東京を離れている時期があり、柏木さんの体調がすぐれないことは人づてに聞いてはいましたが、直接お目にかかる機会はなかなかありませんでした。
最後にお話したのは、いったいいつだったのだろう。

去年の夏のまだ暑い時期に訃報に接し、親しい人たちからお通夜や告別式の予定が回ってきたけれど、ちょうどその時期動かしていた企画の仕上げの時期と重なり、それを口実にどちらにも列席はしなかった。(柏木さんならきっと分かってくれる)と、甘えた事を言い訳に手を合わせなかったことが、心のどこかでずっとひかっかっていました。

今年になって、青木美詠子さんから連絡をいただきました。
青木さんはサン・アドという広告制作会社で柏木さんの後輩で、それ以上にも親しい友人だった方です。
「見てもらいたいものがあるので、会えませんか?」
と声をかけていただき、新宿でお目にかかりました。
その時に見せていただいたものが、この『いちにち いちにち』におさめられたスケッチでした。
その絵の中には、柏木さんがいると思いました。
病床で描きつづった草や花は、柏木さんの姿そのままでした。肉体という重い衣がない分、スケッチの中の柏木さんは軽やかに、生前の柏木さんよりも柏木さんらしかった。そんな気さえします。

そこからスタートしたのが、この本です。

印刷はいつもお世話になっている凸版印刷さんにお願いしました。『文房具を包む』では柏木さんとも組んでいます。繊細なエンピツの線や揺らめくような文字の呼吸もていねいに再現してもらいました。

絵には青木さんの言葉が添えられています。
ここではひとつだけ紹介させて下さい。

  その人がいないところで

  その人のことを
  ほめていた

  えりこさん

柏木さんはほんとうにそういう人だったと思います。

草日誌にも少しだけ柏木さんの思い出を書きました。
よろしければあわせてお読み下さい。(→ クリック

この『いちにち いちにち』は、
今のところ京都の展覧会場「モーネンスコンピス」と、
東京だと千駄木の古本屋さん「古書ほうろう」さんでお買い求めになれます。
京都にも千駄木にもお越しになれない遠方の方には、送料がかかってしまいますが、発送も出来ます。

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