草日誌

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2023年3月8日

『続・三春タイムズ』のこと

梅、桃、桜、
三つの春が一度に訪れる
小さな町、福島県三春町

春、夏、秋、冬
繰り返されて増してゆく
暮らすことへのいとおしさ

新しい本が発売になりました。
長谷川ちえさんの文章とshunhsunさんによる素描からなる『続・三春タイムズ』です。

たんたんと繰り返される私の暮らしは、
地味といえば地味でしょう。
でもそれは、土に水がじわじわと染み渡り、
次第に乾いた大地が潤っていくことにもどこか似て、
そこに蒔かれた種からは芽が出てやがて根を張り、
花が咲いたり実をつけたり、大きく育った木には
鳥や虫たちが集まってくるかもしれません。

都市でもない、農村でもない、
歩いてひとめぐり出来るほどの
美しくも小さな城下町、福島県三春町で
器と生活雑貨の店〈in-kyo〉をいとなむ長谷川ちえさんが、
立春から大寒まで二十四節気の暦の流れに沿って
人とつながり、季節とともにうつろういとなみの豊かさを描くエッセイ集第2弾。
巻末には元三春町長、伊藤寛氏の訪問記も収録しました。

本書は2021年に刊行した『三春タイムズ』の続編にあたり、
2021年から2022年まで、二十四節気のひとめぐりに沿って2週間ごとに書かれたエッセイを収録しました。

「こよみを意識して生活するようになってから数年が経つ。それは三春で暮らし始めた時期とも重なっている。冬至が過ぎると徐々に陽が延び始め、小寒の寒の入りになったと思えば、最低気温が氷点下の日が続き、そして寒さが最も厳しい大寒を迎える。その年ごとに異常気象や気候変動による影響はあるものの、こよみと季節の移ろいは、不思議と足並みが揃ってハッとすることが度々ある。」(本文より)

挿画は今回も素描家shunshunさんに担当いただきました。
繊細さと温かみのある線描を味わってください。

表紙は梅、桃、桜、三つの春が一度に訪れる「三春」らしい色の紙「里紙|桜」を選びました。
文字は日光堂さんによる活版、絵柄はコスモテックさんの箔押しです。
デザインはサイトヲヒデユキさんにお願いしました。

「今年の畑には何の種を蒔いて育てようか。庭づくりをどうしようか。冬の間に作った凍み大根やゆべしの味見もちょうどいい頃。お味噌の仕込みもそろそろ始めよう。福寿草が花を咲かせれば、ふきのとうも顔を出し始め、天ぷらだ、ふき味噌だと春の訪れにはしゃぐ日々。そしてヨモギの若葉を摘んだらヨモギ餅でも作りましょうか。夏には夏野菜を使った料理や保存食の幅をもう少し広げたいし、今年の秋こそはタイミングを逃さず、たくあんづくりもやってみよう。家のことの他にもヨガやアロマテラピー、お習字に、もちろんお店のこともあって、身に余ることをしているようでもあるけれど、家のことはほとんどが恒例行事のように毎年繰り返されていることばかり。それでもその年その年での違いがあり、飽きることなく少しずつ少しずつ我が家の生活の一部になりつつあることが嬉しい。」(「光のつぶ 大寒」より)

『続・三春タイムズ』
長谷川ちえ/文
shunshun/素描
四六変形判上製(192ミリ×124ミリ)216ページ

造本装幀 サイトヲヒデユキ(書肆サイコロ)
印刷進行 藤原章次(藤原印刷)
校正 猪熊良子
編集 信陽堂編集室(丹治史彦 井上美佳)
印刷 藤原印刷
表紙 日光堂(活版印刷)
   コスモテック(箔押し)
製本 松岳社
ISBN978-4-910387-04-8 C0095

価格=2,310円(税込)
送料=250円

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