草日誌

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2013年8月1日

ただ時間を過ごすこと

とてもお世話になったある方のお通夜に参列しました。

読経がはじまると
本堂に気持ちのいい夕暮れの風が吹き込んできて、出て、また吹き込んで。
まるで呼吸しているようでした。

故人はたしかにこの風の中にいました。
風になって、ひとりひとりを抱きしめていきました。
からだは離れたけれど、その分こうやって自由に行き来できるよ。
そう教えてくれていました。

ある方とは、スターネットをはじめられた馬場浩史さんです。
いつかは、と覚悟していたつもりでしたが、
先日石巻から東京に戻る高速バスの中で訃報を受けたときは呆然としてしまいました。
ああ、馬場さんと過ごす時間はもう訪れないのか。
そう思うと、喪失感で胸がつぶれそうでした。

生前には「ただ時間を過ごす」ことをすいぶんしていただいた。
焚き火を囲んで、暖炉の前で、木々の梢を眺めながら、目の前を通り過ぎる想念をつまんで、言葉にして共有する。
そして気がつくと、自分の呼吸がとても深くなっている。
いま考えると、何よりも贅沢な時間だったと思う。

そうです。
からだは離れても、またこうやって時間を過ごすことはできる。
そうですよね、馬場さん。

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