草日誌

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2017年11月4日

民族文化映像研究所
『奥会津の木地師』上映会

信陽堂アトリエにて、
民族文化映像研究所の上映会を開催します!

上映作品は名作の誉れ高い『奥会津の木地師』です。

日時 11月25日 19時上映開始(開場は18時)
会場 信陽堂アトリエ(文京区千駄木3-51-10-1F)
参加費 2500円(税込み、ワンドリンクと軽食付き)
定員 10名(おかげさまで満席となりました。)

木地師とは、山から山に移動し、小屋掛けして暮らしながら木を伐り、椀などの木地を作る人たちのこと。
映画完成時(1976年)、すでに50年前には失われていたという木地師たちの暮らしを、当時を知る人たちが再現して記録された貴重な映像です。

今回の上映会は、毎月定期的に民映研作品の上映会を企画する「食堂シュハリの台所」さんにご協力いただき、「出張 シュハリの台所」として企画しました。

作品の上映と、そのあと1杯のお酒とおつまみをご用意した「上映呑み会」です。
ゲストに、民映研の創立メンバーでこの映画の撮影も担当した伊藤碩男カメラマンをお迎えします。
ほんのちょっと昔の日本の、見たこともない光景の余韻とともにゆるやかにお酒とおつまみをお楽しみ下さい。
呑み会のルールはふたつ。
1)自己紹介は必要なし。
2)感想を求めない。
おしゃべりしたい人はご自由にどうぞ。
映画を見て湧きあがる疑問には、博覧強記の伊藤さんが驚異の記憶力をもって答えてくださるはずです。

こちらから詳しい内容と予告編もご覧いただけます。→ クリック

『奥会津の木地師』(民映研FBより転載)
1976年/55分/自主制作
福島県南会津郡田島町針生
文部省特選/日本映画ペンクラブ推薦/1976年キネマ旬報文化映画ベストテン3位

(作品解説)
 日本列島には、近年まで移動性の生活をする人々が活躍していた。山から山へ移動して椀などの木地物を作る木地師も、そのなかにあった
 これは、昭和初期まで福島県南部の山間地で盛んに移動性の活動をしていた木地師の家族、小椋藤八さん、星平四郎さん、星千代世さん、湯田文子さんによる、当時の生活と技術の再現記録である。作品4「うつわ―食器の文化」の制作過程での藤八さんたちとの出会いから生まれた。
 この地域はブナを中心にした落葉広葉樹林帯である。藤八さんたちは、ブナを材料とした椀を作っていた。
 まず木地屋敷を作る。屋根も壁も笹で葺く、掘立て造りである。家の中には、囲炉裏のある座敷とフイゴやロクロ台などを置く広い土間がある。屋敷ができあがると山の神を祀り、フイゴまつりをする。山の神まつりで藤八さんが唱えた唱え言は、古代のタマフリではないかとみる人もある。谷から水も引いてきた。
 椀作りが始まる。男たちは、山へ入りブナを倒し、伐り株に笹を立てて神に祈る。そして、その場で椀の荒型を作る。
 倒したブナに切り込みを入れて山型を作り、マガリヨキでそれをはつり起こしていく。女たちが荒型を木地屋敷に運び、椀の外側を削って整形するカタブチ作業、中を刳るナカグリ作業と続ける。男たちが、手引きロクロで椀に仕上げていく。
 できあがった椀は馬の背で町へ運ばれていく。
 人の力で回される手引きロクロは、奈良時代に大陸から導入されたものだという。藤八さんたちは移動性生活をやめ、手引きロクロの作業もしなくなってすでに50年余りたっていた。しかし藤八さんたちの身体には、千年を越す技術の伝統が見事に息づいていたのであった。
©民族文化映像研究所

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