草日誌

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2022年10月25日

第15回 映画とごはんの会
『奥会津の木地師』

民族文化映像研究所作品の上映会 15回目「映画とごはんの会」を開催します。
11月のプログラムは『奥会津の木地師』。
人が生きるということ、
必要なものを自分たちで作りながら暮らすことの原型を記録した民映研の代表作です。
信陽堂では2017年11月以来5年ぶりの上映、未見の方はぜひこの機会にご覧下さい。

日本列島には、近年まで移動性の生活をする人々が活躍していた。
山から山へ移動して椀などの木地物を作る木地師も、そのなかにあった。

上映時間55分の作品です。
こちらから予告編もご覧いただけます。→ クリック

【会場】信陽堂アトリエ(文京区千駄木3-51-10-1F)

【日時】2022年11月26日(土)

〈昼の部〉定員となりました(10月26日06:00)
15時上映開始(開場14時30分)17時00分終了
参加費 2000円(お茶とお菓子付き 税込)
定員 受付終了いたしました

〈夜の部〉定員となりました(10月25日18:00)
19時上映開始(開場は18時30分)22時終了
参加費 4000円(ワンドリンクとお弁当付き 税込)
定員 受付終了いたしました

【受付】  ←キャンセル待ちのご案内となります。
「お問い合わせ内容」に「奥会津の木地師 参加希望」
〈昼の部〉か〈夜の部〉か、当日連絡が取れる電話番号、複数でお申し込みの場合は人数もご記入ください。

*感染症対策として、手指消毒用のアルコール、ジェルをご用意します。
 上映中はマスクを着用していただきます。
 当日体調の優れない方の来場はご遠慮ください。
 せき、くしゃみなどの症状がある方は入場をご遠慮いただきますのでご了承ください。

「映画とごはんの会」は
作品の上映と、そのあと1杯のお酒とおつまみをご用意した会です。

1)自己紹介は必要ありません
2)感想も求めません
とはいえ、映画を観たあとには浮かび上がるいろいろな思い、疑問があると思います。
ゲストに、民映研の創立メンバーでこの映画の撮影も担当した伊藤碩男カメラマンと、民映研の代表の箒有寛さん(ShuHALLI)をお迎えします。
湧きあがる疑問には、博覧強記の伊藤さんと箒さんが驚異の記憶力をもって答えてくださるはずです。
お弁当は「たまや」が担当します。
おいしいお酒と肴とおしゃべりを楽しみましょう。

『奥会津の木地師』
1976年/55分/自主制作
福島県南会津郡田島町針生
文部省特選/日本映画ペンクラブ推薦/1976年キネマ旬報文化映画ベストテン3位

【作品解説】
 日本列島には、近年まで移動性の生活をする人々が活躍していた。山から山へ移動して椀などの木地物を作る木地師も、そのなかにあった
 これは、昭和初期まで福島県南部の山間地で盛んに移動性の活動をしていた木地師の家族、小椋藤八さん、星平四郎さん、星千代世さん、湯田文子さんによる、当時の生活と技術の再現記録である。作品4「うつわ―食器の文化」の制作過程での藤八さんたちとの出会いから生まれた。
 この地域はブナを中心にした落葉広葉樹林帯である。藤八さんたちは、ブナを材料とした椀を作っていた。
 まず木地屋敷を作る。屋根も壁も笹で葺く、掘立て造りである。家の中には、囲炉裏のある座敷とフイゴやロクロ台などを置く広い土間がある。屋敷ができあがると山の神を祀り、フイゴまつりをする。山の神まつりで藤八さんが唱えた唱え言は、古代のタマフリではないかとみる人もある。谷から水も引いてきた。
 椀作りが始まる。男たちは、山へ入りブナを倒し、伐り株に笹を立てて神に祈る。そして、その場で椀の荒型を作る。
 倒したブナに切り込みを入れて山型を作り、マガリヨキでそれをはつり起こしていく。女たちが荒型を木地屋敷に運び、椀の外側を削って整形するカタブチ作業、中を刳るナカグリ作業と続ける。男たちが、手引きロクロで椀に仕上げていく。
 できあがった椀は馬の背で町へ運ばれていく。
 人の力で回される手引きロクロは、奈良時代に大陸から導入されたものだという。藤八さんたちは移動性生活をやめ、手引きロクロの作業もしなくなってすでに50年余りたっていた。しかし藤八さんたちの身体には、千年を越す技術の伝統が見事に息づいていたのであった。

©民族文化映像研究所/『民映研作品総覧』(はる書房)より転載

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