
2026年7月29日

〈映画とごはんの会〉を開催する金曜日の午後に、好評だった作品を再上映しています。
アンコール#04は『薩摩の紙漉き』です。
鹿児島県姶良郡蒲生町に伝わる紙漉きの技術は奈良時代まで遡り、江戸時代は藩の御用紙として郷士たちによって作られていました。最盛期には500軒もの家で行われていたものが、撮影当時1軒だけに減っていた伝統的な紙漉。所作や質への姿勢に薩摩郷士の気質がうかがえます。薩摩の豊かな風土を背景に、材料の収穫から仕上げまでを記録した1990年制作、36年前の映像。
信陽堂では2019年以来の上映です。
30分の映像をいっしょに観て、大きな「?」を抱え、大いにおしゃべりしましょう。
会場 信陽堂アトリエ(文京区千駄木3-51-10-1F)
日時 2026年8月26日(金)
14時上映開始(開場13時30分)16時30分終了
参加費 2000円(お茶とお菓子付き、税込)
定員 10名 【予約する】
上の【予約する】からフォームに入れない場合、
あるいはキャンセル待ちをご希望の方は【ここをクリック】
「お問い合わせ内容」に「泥染 参加希望」または「キャンセル待ち希望」
当日連絡が取れる電話番号、複数でお申し込みの場合は、参加ご希望の方それぞれのメールアドレス、電話番号もご記入ください。
また、食品アレルギーがある方は、その旨もご記入ください(お菓子の参考にいたします)。
映画のあとはお菓子とお茶の時間です。
1)自己紹介は必要ありません
2)感想も求めません
とはいえ、映画を観たあとには浮かび上がるいろいろな思い、疑問があると思います。
ゲストに、民映研の代表の箒有寛さん(ShuHALLI)をお迎えします。
いっしょに観て、大いにおしゃべりを楽しみましょう。
*感染症対策として、手指消毒用のアルコール、ジェルをご用意します。
当日体調の優れない方の来場はご遠慮ください。
せき、くしゃみなどの症状がある方は入場をご遠慮いただく場合がございますのでご了承ください。
状況によっては、上映中はマスクを着用していただく場合がございます。


『薩摩の紙漉』
1990年/30分/鹿児島県教育委員会委嘱
鹿児島県姶良郡蒲生町上久徳
【作品解説】
薩摩の紙漉きの歴史は奈良時代に遡る。江戸時代には藩の御用紙として奨励され、最盛期にほ蒲生だけでも500軒余が紙を漉いていたが、現在は蒲生町の野村家と鶴田町の野元家のみがその技術を伝えている。これは野村正二、マツ子夫妻の、原料のカジ栽培から紙漉き、製品の仕上げまでの全工程の技術を記録したものである。
1月16日、水神まつり。紙漉き場の井戸に奉られる水神に、一年の紙漉きの無事を祈る。このころは薩摩の紙の原料、カジの木の収穫の季節でもある。刈り取ったカジは、皮を剥ぎやすくするために蒸す。そして近所の人たらも手伝って皮剥ぎ。それから3日ほど天日で乾かす。次にカジ煮。表皮を柔らかくし、アクを出すために苛性ソーダ液で煮る。さらに水に晒してアクをぬく。川に石を並べて堰にしたエゴとよぶ晒し場での昔風な晒し方も記録した。カジのゴミやキズを取り除くキズツミ。そして叩解。カジを打ち、繊維をほぐす。繊維をずたずたに切らないように水平に打つ。自然の繊維の長さを生かすのが日本の紙漉きの特徴である。叩解されたカジをカミソと呼ぶ。
カミソができたら紙漉ぎである。今回は障子紙を漉いた。水をはった漉槽にカミソを入れよく撹拌し、ネリとよばれる粘り気の強い液を入れる。ネリはトロロアオイの根やノリウツギの皮から取る。ネリは、日本で発達した流し漉きになくてはならないものである。
野村さんの漉き方の特徴は、漉き桁を横、縦、横の順に動かして、それぞれの方向に織維の層を作り、三層にすることである。伝統的技法に野村さん独自の工夫が加わって、丈夫な薩摩紙が漉き上がる。
漉いた紙はしめ木にかけ、静かに水分を絞り出してから乾燥させる。
現在は蒸気で温めた鉄板を使うが、以前は板に貼り天日で乾かした。第二次世界大戦後の桜島の噴火がその転機であった。最後に紙の端を切りそろえ、障子紙の寸法に切ってできあがる。
©民族文化映像研究所/『民映研作品総覧』(はる書房)より転載

