草日誌

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2015年2月26日

ひどい顔の写真

ことあるごとに思っていることですが、なかなかまとまってお伝えすることもないので、ちょっと書いておきます。
先日、2010年、アノニマ・スタジオを離れた直後に撮った写真が出てきました。仕事をいただける事になったある会社のID証用のものですが、その顔がひどいの何のって! 表情に精気はないし眼に力もないし、自信というか誇りというか、そういう人の軸を支えるものが何もない。とにかくひどい。オーラが破れている。それでも「仕事しなくちゃ」という悲壮感はあり、わざとギラギラしているようにも見えるちぐはぐぶりです。
写真からだけでもこれだけの状況がわかるのだから、直接会っていた人たちはどう思ったでしょう。「ごあいさつ」といいながらお目にかかっても、ぐちゃぐちゃだったと思います。きっとひどい雰囲気だったはずです。
アノニマを離れて以降、掌を返すような態度をとられたことも何度もありました。悔しくもあり、悲しくもあったけれど、今から思えば(この写真の自分を見れば)、彼らの反応は正しい。動物として正しい。へんな匂いのするものからは、自然に遠ざかりますよね。これは恨んだり怒ったりすることじゃないです。みなさんは、生理的に正しかった!
何が言いたいのかというと、そんな自分に仕事を発注してくださった人たちには、本当に、本当に感謝しています、ということ。
変わらず接してくれた人たちのことは、一生大切にします、ということ。
ぼくのキャリアを知っている人たちならなおのこと、あの状態のぼくを見て、きっと、すごく不安に思ったでしょう。「このひと、大丈夫か? もうやばいんじゃないか」と。それでも仕事をまかせてくださった。ぼくの中のまだ壊れていない部分を信じてくれた。そこに賭けてくださった。声をかけてくれて、前と変わらずごはんに誘ってくれた。お酒につきあってくれた(あのころはまだ飲んでました)。「またいい本一緒に作りましょう」と言ってくださった。何も言わず、離れもせず、静かに見守ってくださった人たちがいたことも、知っています。
それが本当にありがたいです。
みなさんから「ひとかけらの信頼」をいただけたから、どうにか沈みきらずに生きて来られたに違いないのです。
あのころ住んでいた島まで訪ねて来てくれた数人のみなさんは、ぼくにとって本当に大切な友人です。
あのころ仕事をくださった数名の方は、ぼくにとっていのちの恩人です。
それ以上でもそれ以下でもありません。
人を生かすのは、お金じゃありません。
人とのつながりだと思います。
人の気持ちだと思います。
みなさんがいなかったら、
ぼくはもうとっくにここから消えていたに違いありません。
ほんとうに、ほんとうに、
ありがとうございます。

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